Firefox Developers Conference 2008 Report 基調講演 (2) 「Ubiquity -言葉でつなげる Web-」

Firefox Developers Conference 2 つめの基調講演では、Mozilla Labs において ユーザインタフェイスの研究開発を行なっている Aza Raskin より「Ubiquity -言葉でつなげる Web-」というタイトルで、Ubiquity という新しいユーザエクスペリエンスのカタチについて講演が行われました。ここではそのサマリーをご紹介いたします。

ユーザインタフェイスの改善

私は Mozilla Labs でユーザエクスペリエンスのリーダーをしています。今回は開発中の Ubiquity についてお話します。

インタフェイスのデザインやユーザエクスペリエンスはブラウザだけでなく、あらゆるプロダクトに重要なもので、問題によっては人の生死に関わる場合もあります。そこまで極端ではなくても、今や Firefox は世界で 20% のシェアがあり、それだけ多くの人達が毎日のように使うわけですから、インタフェイスを改善してユーザのほんの数秒の無駄が省けるだけでも、大きな時間の節約になるわけです。ユーザの思考を手助けになることも大切で、スケーラビリティのあるインタフェイスの構築が求められています、

次にインタラクションの問題があります。Web を通じて人々様々なことを無制限にやりたいと思うようになってきました。けれども、それぞれやりたいことをボタンやアイコンにしていたらとても探し出すことはできません。では、Google のトップページのようにある意味究極のシンプルなデザインにしてはどうでしょう。Google では映画も探せるし、翻訳も計算もできるけれど、ユーザによってはトップページを見ても使い方がわからないこともあるでしょう。また、全ての言語や文化に通じるデザインをどうすればよいかという難しい問題もあります。

ブラウザが自分のやりたいことを記憶してくれている

Web の技術が進む中で、Firefox 3.1 がリリースされる際には、インタフェイスに伴う問題を少しでも解決したい。そのために、より良いインタラクションのデザインを考えることが私の仕事であり、Ubiquity では Firefox との対話を可能にする会話型のユーザインタフェイスを目指しています。簡単なテキストをコマンドのように入力するだけで Web 上のサービスをシームレスに使うことができるのです。

Web には様々な素晴らしいサービスがあり、メールや地図を使えたり、レストラン情報や旅行ツアーも探せるけれど、“おいしいレストランの情報と地図を友達にメールで送る”といった簡単な作業でも、思った以上に手間と時間がかかってしまうものです。たとえば、昨日の夜食を食べて気に入ったお店を友達にメールで紹介したいと思ったら、まず Google Map で店名を検索して地図を表示してからその URL をペーストして、Gmail に貼り付けるといった作業をするわけです。同じことを Ubiquity であれば、Gmail に友達にお店を紹介する文章を書いて、店名をドラッグした後で「map」と入力すると Google Map で検索ができて、さらにその結果を簡単に Gmail にコピーできます。テキストを選択して「translate」とブラウザに入力すれば翻訳できるなど、検索サービスを使うのと同じ感覚でサービスや機能を簡単に使うことができるのです。

知的好奇心を刺激することが次のアイデアにつながる

Ubiquity ではどうしてやりたいことがテキストだけで簡単にできるのか。理由はいろいろありますが、普段自分が使っているサービスや機能をブラウザが憶えているからというのが一番の大事なポイントになっています。ブラウザにはインターネット上で行なっていることのあらゆる履歴が記録されています。たとえば、友人のメールアドレスをアドレス帳に登録していなくても、SNS にログインした際にコンタクトリストを読み込んでいるので、友だちの名前を入力しただけでメールアドレスが表示されて、なおかつそのままメールが送るといったことができるのです。

また、他にもサイトのデザインを変えたり、新しいサービスを作り出すなどもできますし、JavaScript や HTML の知識があればいろいろなことができるようになります。将来的に Semantic Web のような Web 上の情報をコンピュータが理解しやすくなれば、Ubiquity の可能性はさらに拡がるでしょう。そういう意味では、より多くの人々の知的好奇心をとても刺激するものだと思っています。

現在、Ubiquity はまだ開発中の段階で、普通の言葉を使ってどこまで指示できるようにするか、そして他言語への対応といった問題もあります。表示についても、まだ検討の余地がありますし、セキュリティ面についても考えなければなりません。開発スタッフはまだ数名しかいませんが、ワールドワイドでシンガポールやニュージーランドからも参加があります。コンピュータを信じ、夢見ることが次の時代を変えていくはずです。同じ志を持ったもっとたくさんの人達に、Ubiquity の開発に参加していただきたいと思っています。

このセッションの動画を見る

動画を見る

  • 動画の公開期間は 3 ヶ月間となります。(2009 年 4 月 28 日まで)
  • 動画配信は WIDE University, School of Internet (SOI) 様のご協力をいただいております。
  • 動画を見るには RealPlayer Basic (G2 以上) または RealOne Player が必要です。(詳細)

関連リンク

写真

Mozilla Labs でユーザインタフェイスの研究開発を行なっているチームリーダの Aza Raskin からブラウザの新しいユーザインタフェイスとして開発中の Ubiquity が紹介された

Web 上でできることは加速度的に増えており、機能をアイコン化してもユーザの使い勝手は向上できなくなってきている

アイコンやメニューを多用してもサービスの使い勝手にはあまり影響しないことを Google を例に説明された

ニュースサイトから翻訳したい日本語をドラッグして「translate」と入力するだけで翻訳ができ、何度も使っているうちに頻度の高いサービスはコマンドを途中まで入力するだけでブラウザが捕捉してくれるようになる

URL の入力捕捉のように頻度の高いサービスは数文字の入力で一覧表示される

Ubiquity の基本はプログラミングなので、サービスを組み合わせて使えるだけでなく、ウェブサイトのデザインを変えたりすること、もできる

コマンドをカスタマイズする際に使われているソースを表示して参照することもできる

既存のサービスの名前をコマンドとして使えるようにもできる

Ubiquity ではコマンドを編集するためのエディタも用意されていて、JavaScript や HTML の基本的な知識だけで使えるという

天気予報の内容を直接表示したり、自然な言葉を使って操作を指示することもできる